ももの命を奪った病気 免疫介在性溶血性貧血

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2023年6月13日午前9時10分、ももはそのあまりに短い犬生の幕を閉じました。
多くのSNSフォロワーさんから温かいお言葉、お花、お悔やみを頂き大変感謝しております。
このブログを読むことでこの病気を予防、回避は出来ないかも知れませんがももに何が起こったのかをここの記したいと思います。

愛犬が『免疫介在性溶血性貧血(めんえきかいざいせいようけつせいひんけつ)』と診断された場合には、「どんな病気なのだろう?」「治るのかな…?」など多くの疑問や不安があることと思います。

免疫介在性溶血性貧血は、どの犬でもなる可能性があり、命にかかわる怖い病気です。

この記事では、犬の免疫介在性溶血性貧血について、原因や症状、治療法などについてお伝えしています。

予後や治療費についてもお伝えしていますので、犬の免疫介在性溶血性について知りたい飼い主さんの参考になれば幸いです。

犬の免疫介在性溶血性貧血の原因とは?

犬の免疫介在性溶血性貧血は、自身の免疫システムの異常により、血液(赤血球)が壊されてしまい、貧血を呈する疾患です。

『IMHA(Immune-mediated hemolytic anemia)』とも呼ばれます。

原因がわからずに発生する『特発性』と、リンパ腫や慢性リンパ性白血病、悪性腫瘍などにともなって発生する『続発性』のものがあります。

犬における免疫介在性溶血性貧血は特発性のものが多く、特にメス犬に多発すると言われています。
ももも特発性でものすごいスピードで体を蝕んでいきました。

犬の免疫介在性溶血性貧血の症状とは?

症状は貧血の程度によりさまざまあります。

  • 元気や食欲がない
  • 疲れやすくなる
  • 息切れをするようになる
  • 粘膜(舌や歯茎)が白い
  • 嘔吐や下痢

また、壊された赤血球の色素が尿に溶け出て、『血色素尿症(けっしきそにょうしょう)』と言った赤色/オレンジ色の尿が出る場合や、白目や皮膚(耳の内側・おなかなど毛がない部分が分かりやすい)が黄色くなる黄疸を示すこともあります。

「何となく元気がない…」「何となくいつもと違う様子…」と言った分かりにくい症状である場合もあり、注意が必要です。

我が家のももの場合、6月10日土曜日に家のトイレでしたおしっこの色が濃く異変に気付きました。
ずいぶん色が濃いなあと観察しましたが、血が混じってるわけでもなかったので様子見となりました。
散歩もいつも通り元気に行き、おしっこもうんちもしました。少しだけうんちの色が明るかったので、写メを撮って週明け獣医さんにみせるつもりでした。

犬の免疫介在性溶血性貧血の診断法とは?

犬の免疫介在性溶血性貧血を診断するためには、溶血(赤血球が破壊されて血色素;ヘモグロビンが漏れ出ている状態)をともなう貧血を生じていることが前提となります。

溶血をともなう貧血の原因としては、バベシア症・ヘモプラズマ症などの感染症や中毒の場合などもあり、その除外が重要です。

犬の免疫介在性溶血性貧血の確定診断は、

  • 球状赤血球(正常では中央がくぼんでいる)の増加
  • 自己凝集(赤血球同士が結合)の存在
  • 直接クームス試験(赤血球に結合している免疫グロブリンなどを検出する検査)陽性

の所見のうち、2つ以上が見られる場合、もしくは、血球洗浄後自己凝集が陽性で、かつ溶血兆候として、肝前性高ビリルビン血症、血色素血症/尿症、赤血球ゴースト(赤血球の膜;ぼわーっと不明瞭に見える)のうち1つ以上が見られる場合とされています。
(ももは球状赤血球の増加と自己凝集が認められました)

また、併発疾患の有無なども調べるため、各種画像検査(超音波検査やX線検査など)、尿検査なども行い、診断をしていきます。

犬の免疫介在性溶血性貧血の治療法とは?治療費はどれくらい?

治療法としては、免疫抑制療法と抗血栓療法を同時に行うことが重要です。

つまり、自身の過剰な免疫反応を抑えることと、付随して生じる血栓の形成を抑えることが大切と言うことです。

重度の貧血が見られるときには、輸血や酸素療法(酸素室での治療)を行うこともあります。

薬で十分な効果が認められない場合には、赤血球が壊される場所の一つである脾臓の摘出も考慮します。

併発疾患がある場合には、同時にそちらの治療も必要となります。

施設によっては、再生医療(細胞の持つ抗炎症作用・免疫調整作用を利用)を用いることもあります。

治療費は、犬の状態や、動物病院によって大きく異なります(自由診療であるため)。

治療期間も長くなる傾向にあるため、数十万程度かかることが多いようです。

ももの場合はペット保険の記事にも書きましたが40万円でした。

では以下では、よく行われる治療法について、分けてお伝えしていきます。

免疫抑制療法

自身の過剰な免疫反応を抑える治療法です。

用いる治療薬としては、プレドニゾロンもしくはデキサメタゾンといったコルチコステロイドの投与が推奨されています。

反応が見られない場合には、アザチオプリンやシクロスポリンなどの免疫抑制剤を併用します。

免疫抑制剤は効果が出るまでに2~4週間かかるため、早期に薬の効果を判断することは難しいことに注意が必要です。

また、プレドニゾロンと免疫抑制剤にて反応がない場合には、ヒト免疫グロブリン(IVIG)療法を行います。

これは生涯に一度しか用いられない薬であるため、初期からの導入は望まれていません。

抗血小板療法

この病気の死亡原因の多くが、肺血栓症や播種性血管内凝固(DIC)であると言われています。

また、治療において抗血小板療法を行った症例では、行わなかった症例よりも明らかに生存期間が長かったという報告もあるため、この治療を行うことは非常に重要です。

血小板が減少していなくても、低用量のアスピリンやクロピドグレル硫酸塩の投与を行います。

摘脾療法

抗体産生の抑制と、赤血球貪食と破壊の場所を除く目的で実施されます。

一般的には、脾臓摘出を行っても、それによる大きな副作用はないそうですが、ももの場合脾臓摘出に耐えられる体力はもう残っていないのが一目でわかり手術は受けませんでした。

輸血

免役抑制療法は効果の発現までに多少の時間がかかるため、強い貧血症状がある場合にはもものように輸血を行うこともあります。確か120mlほど輸血したと思います。ここで輸血用の血が人間と違い全然ない事を知りました。偶然そこの病院は系列の他院にあったので取り寄せてもらいました。

これにより一時的に貧血の改善がみられ、ももも少し元気になりましたが、輸血の量を上回るスピードで血液が破壊されていると告げられました。

犬の免疫介在性溶血性貧血の予後や生存率はどれくらい?

低い生存率である病気です。
私のSNSのフォロワーさんから、同じ病気で亡くなったというメッセージをたくさん頂きましたが治ったという方は一人しかいなかった事からも恐ろしい病気である事がうかがえます。

メスの死亡率の方が若干高く、死因としては、腎不全や肝不全、心不全、特発性血小板減少性紫斑病、DICに関連したものが多いとされています。ももは最後は肺炎になり亡くなりました。

完治した場合でも、再発をすることが多いそうで、定期検診も重要です。

犬の免疫介在性溶血性貧血を予防する方法

犬の免疫介在性溶血性貧血を予防する方法はありません。

そのため、愛犬の異常に早期に気づくことが、一番の対策となります。

『食事や睡眠はしっかりとれているのか?』『嘔吐や下痢はないか?』

「なんとなく元気がない…いつもと違う…」といったことが、大きなトラブルであることもあります。

愛犬の異変を感じたら、速やかに動物病院に受診するようにしましょう。
予防は出来ないと書きましたが、SNSで頂いたDMの中に、台所で夕飯の支度をしてる際、小さな生の玉ねぎを落とし、それを食べたチワワちゃんが溶血性貧血になり亡くなったというメッセージを頂きました。玉ねぎがダメなのは知ってましたが、溶血性貧血になるとは知りませんでした。食べても大丈夫な子もいるそうですが、これは予防出来ることと思います。皆で気をつけましょう。

【まとめ】犬の免疫介在性溶血性貧血の原因や症状について

犬の免疫介在性溶血性貧血は、自身の免役トラブルにより赤血球が破壊されてしまう病気で、命にかかわることもある緊急疾患です。

ももの場合おしっこの色が濃い事が最初の異変でしたが症状としては、フラフラする、歯茎が白い、食欲がない…といった貧血に関連する症状がみられることが多く、『何となくいつもと様子が違う…』といったわかりにくい症状であることもあります。

そのため、愛犬の変調を感じた場合には、速やかな受診がおすすめします。

亡くなる3日前、急に濃いおしっこをしました
重度の貧血により酸素が足りてないもも。もも!よく頑張ったね!自分が死んだら真っ先に探しに行くからね!

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